解読文
原文
送り一札之事/一 拙者村方組頭平蔵娘ちよ儀、其御村方藤吉殿媒を以、御同村御百姓政五郎殿嫁二差遣し申候所相違無御座候、然ル上ハ当村方宗門人別相除キ申候間、其御村方宗門人別御帳面御書加へ可被成候、
右平蔵義、代々村内広正寺壇中二而、御法度之宗門類族二而者決而無御座候、為後日之送り一札依而如件
島田綿三郎知行所 比企郡広野村名主・竹次郎㊞/文久二年戌三月日/板井村 御役人中
>>読み下し文
現代語訳
送り一札の事(戸籍を送り移します)/一 私の村の組頭・平蔵娘ちよは、御村方の藤吉殿の媒(なかだち)により、御同村御百姓・政五郎殿の嫁として縁付きますことに間違いありません。
しかるうえは当村方の宗門人別から除きますので、御村方の宗門人別御帳面へお書き加えください。右平蔵は代々、村内広正寺の檀家で禁制の宗門・キリシタンのたぐいでは決してございません。後日のため送り一札は右の通りです。
島田綿三郎知行所 比企郡広野村(埼玉県比企郡嵐山町)名主竹次郎㊞より。文久二年(江戸末期)戌三月/板井村(相給/埼玉県熊谷市)御役人の方々へ
解説
送り一札(おくりいっさつ)とは、人別送り状(にんべつ-おくりじょう)のことで、前頁の人別送り状のおさらいとして史料を解読してみましょう。
類族(るいぞく)とは、キリシタン宗徒及びキリシタン宗徒の一族七代までの称です。
書式はほぼ一緒なので、村名や人物名が解読できれば問題ないかと思います。史料は破損も書き手のクセもなく、きれいなくずし字で書いてあるので候文一年生の学習にふさわしい文書。是非ご活用ください。
読み下し文
送り一札の事/一 拙者村方組頭平蔵娘ちよ儀、その御村方藤吉殿媒(なかだち)をもって、御同村御百姓政五郎殿嫁に差遣し申そうろうところ、相違なくござそうろう
しかるうえは当村方宗門人別相除き申しそうろうあいだ、その御村方宗門人別御帳面御書き加へなさるべくそうろう 右平蔵義、代々村内広正寺壇中(だんちゅう)にて御法度の宗門類族にては、決してござなくそうろう、後日のため送り一札よってくだんのごとし
史料情報
- 表題:送り一札之事(平蔵娘ちよ政五郎嫁二)
- 埼玉県立文書館所蔵 飯島家334
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