解読文
としとくあきの方 いねの間万よし
解説
歳徳神(としとくじん)は、一年の福徳を司る神で、この方角に向かって事を行えば万事大吉とされます。方角は、伊勢暦において三鏡宝珠形の下に記載されます。
歳徳神が来る方位は「明(あき)の方」または「恵方(えほう)」といいます。歳徳神の所在方位はその年の十干により変わり、明の方位に示した通りですが、見るべき箇所を下記にPickUpしました。
年の十干:明(あき)の方位
- 丁・壬:北宮壬/亥・子(北北西・真北)の中間
史料(伊勢暦)二行目に「文久二年みつのえいぬ」すなわち「文久二年壬戌」と書いてあるので、この年の十干は壬(みずのえ)。よって明けの方位(歳徳神が来る方位)は「亥・子の中間」すなわち北北西と真北の間だとわかりました。
かくして史料青い枠内「としとくあきの方 いねの間万よし」は「歳徳神の出てくる方位は亥・子の間(この方角に向かって事を行えば)万事よい」の意となります。歳徳神が出てくる定められた方角と一致していることも確認できました。
おさらいに引札暦に記された歳徳神の方角もチェックしてみてください。歳徳神が記されている場所は、共に三鏡宝珠形の下であることも確認できます。
参考文献
- 伊東和彦「第三章 暦の内容」『暦を知る事典』(東京堂出版、2006年)94頁